未熟であること

緊急事態宣言が出されちゃいましたね。
私が住む神奈川県も含まれていますが 出す前と出された後のちがいって混乱だけかな。
私たちの生活が救済されるようなものではなかったですね。
いろいろなところから聞こえてくる 経済的な困窮。
実際に国を任されている 政治家という人たちにはわからないんだろうと諦めました。
人の 暮らし そのものに 興味がないんだなという虚しさしかない 緊急事態宣言になっちゃいました。
さて 今日の画像のバッファローですが 先日 書いた エルダースピリットの おじいちゃんのトーテムです。
智慧と分別があるリーダーが持つトーテムですが バッファローとして生まれたら そうなれるものでもないんですよ。
リーダーは自らなるものではなく みんなに認められなければ リーダーとは名乗れない。
そんな 若いバッファローのおはなしです。
〇あるバッファローの話
プレイりードッグたちが 穴から顔を出して見張りをしています。
遠くから黒い塊が近づいてきます。
あ~ あのバッファローかあ…。
そういうと みんなは穴の中に引っ込んでしまいます。
バッファローはプレイリードッグの巣穴を 静かに通り過ぎて行きました。
巣穴に興味を示すこともありません。
そのころ プレイリードッグたちは 巣穴でこんな話をしていました。
あのバッファロー怖いよね? このまえコヨーテ君に すごい勢いで怒ってたね。
あの子の亡くなったおじいちゃんは みんなにやさしかったのに。
おじいちゃんが一緒だったころは あの子もやさしかったのにねえ。
この若いバッファローは 少し前に大好きな おじいちゃんを失くしていました。
おじいちゃんと一緒に行動しては いろいろなことを教わってきました。
この草原の仲間たちが どうしたら仲良くやっていかれるのか?
わしがいなくなったら お前がその手伝いをすることになるんじゃ。
いまのうちに よく見ておきなさい。
おじいちゃんは若いバッファローを連れて たくさんの仲間に会っては
よく他愛もない話をして 笑ったり驚いたりする そんな毎日です。
若いバッファローには おじいちゃんの仕事は見回りして みんなと世間話をすること。
そんなふうにしか見えませんでした。
おじいちゃんが亡くなって 今はひとりで草原を歩いているのです。
プレイリードッグたちが見かけた コヨーテを叱りつけたことのほかにも
かけすの声が大き過ぎる プレイリードッグは穴を掘り過ぎて地面がデコボコで危ないじゃないか!
こんなふうに みんなに注意しながら見回りを続けてきました。
こんなことが月が新しくなるまで続いたときには 誰も彼と顔を合せなくなってしまいました。
それで今日も ひとり暗い顔をしながら 草原を歩いていたのです。
おじいちゃんは みんなといつも楽しそうにしてたのに どうしてボクは独りぼっちなんだろう?
おじいちゃんだって カケスにもコヨーテにも プレイりードッグにも ボクと同じことを言ってたはずなのに…。
若いバッファローの脚は 自然とおじいちゃんの亡骸の場所にむかっています。
草むらの中に立派なバッファローの骨が横たわっています。
これが彼のおじいちゃんです。
おじいちゃんの大きな頭蓋骨の鼻先に自分の鼻を寄せて 若いバッファローは涙をこぼします。
おじいちゃん ぼくはどうして みんなに嫌われるんだろう?
ひとりぼっちなんだろう?
おじいちゃんがいなくなったからなの? ぼくはみんなの仲間じゃなくなったの?
いつの間にか 大粒の涙は止まらなくなり 小さな水たまりができました。
水たまりの中から おじいちゃんの声がします。
水面に映った太陽から おじいちゃんと神さまが笑顔で覗いていました。
こらこら わしはお前になにを教えてきたのか わからんようになったぞ。
そういって おじいちゃんは笑っています。
若いバッファローは ぼくも精霊の国に行きたいよ… そう言ってまた泣きました。
よくお聞き。
おまえはまだ若い。わしと同じことをしようとしても そりゃあ無理というもんだよ。
コヨーテを叱りつけたとき おまえはコヨーテを自分よりも下に扱っただろ?
カケスにもプレイりードッグにも 頭ごなしに物を言っていたよな?
若いバッファローは黙って聞いています。
わしが毎日 みんなとおしゃべりしていたのは みんなそれぞれの想いや事情があることを ちゃんと知るためなんじゃよ。
それをわかったうえで もうちょっとこうしてやると みんなにもいいんじゃないかね?
そんな話をしてきたのさ。
叱ったり 無理にわしの思うようにさせたことがあったかい?
カケスが大きな声を出すのも いつも大声だとだいじなときに伝わらんよなあ?
そう話したのを覚えていないのかい?
若いバッファローは 気がつきます。
おじちゃんの威厳だけを 自分は見ていたこと。
姿かたちが おじいちゃんと同じなら おじいちゃんと同じように出来ると思っていたこと。
ぼくはこれから どうすればいいの?
みんなに謝ったら許してくれるのかな?
ぼくは おじいちゃんみたいになれないのに…。
謝って みんなにも教えてもらいなさい。わしも死ぬまで 教えてもらってきたんだよ。
おじいちゃんがそういうと 水たまりの太陽は雲の中に隠れていきました。

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