ムースのおはなし

ぜんぜん関係ないんですけど ブログのタイトルを べあぱう にしたら 検索では靴がヒットしますよと教えてもらったので
サブタイトルに眠り熊を追加で戻しましたw
次回のトーテムのお話はムースなので そのまえに むかし話です。
今の時代には馴染まないかもしれませんが 父性 の話として リーダーの話として読んで頂けたらいいのかなと思います。
ムースの子どもたちが 少し離れたところで木の枝を食んでいる おとうさんを眺めています。
おとうさんは あまりおしゃべりをしたり 一緒に遊んだりすることはありません。
お母さんたちが おとうさんとニコニコ話しているのを見かけることも あまりありませんでした。
ひとりの男の子がお母さんにたずねます。
ねえ どうしておとうさんは おしゃべりしたり みんなと遊んだりしないの?
ぼくたちや お母さんたちのこと あんまり好きじゃないのかな?
お母さんムースは じゃあ おとうさんに直接訊いてみたらどうかしら? と答えました。
男の子は え? おとうさんに? と怯んでいます。
さあ 行ってごらんと おかあさんは男の子のお尻を鼻で押しました。
その様子をおとうさんは 目の端でずっと見ていました。
耳を動かさずに ふたりの会話も聞いていました。
おかあさんはそのことを知っていて 男の子のお尻を押していたのです。
気づいてもいないのは 子どもたちだけです。
男の子はおとうさんに近づく勇気が出ずに 立ち止まってしまいました。
ほかの子どもたちも どうしたらいいのかわからず みつめています。
少し静かな時間が過ぎていきました。
おとうさんが木の枝を噛む音がしなくなり ゆっくりとした足音が近づいてきます。
泣きそうな顔でたたずんでいた男の子は 大きな身体に大きな角を持ったおとうさんが
自分に向かって歩いてくるのを見て 固まってしまいます。
おかあさんは なにも心配せずに穏やかに見守っています。
おとうさんは男の子のすぐ近くまでくると 静かに声をかけました。
おとうさんが怖いかい?
男の子は すなおにうなづきます。
おとうさんの目は やさしく男の子をみつめています。
男の子はやっと口を開きました。
おとうさんは ぼくたちやおかあさんたちのこと あんまり好きじゃないの?
おとうさんは みんな おとうさんには とても大切な家族だよ と答えます。
男の子は じゃあ どうしてみんなとお話したり 遊んだりしないの?
仲良くしないの? と思い切って言葉に出しました。
周りでみているムースの子どもたちも うなづいています。
おとうさんは ニコニコして その顔を見渡しました。
なあ みんな。おまえたちのおとうさんは 私しかいないだろ?
みんなを守れるのは おとうさんだけなんだよ。
お母さんは おまえたちにたくさんの愛情を注いでくれるだろ?
たくさんおしゃべりをして 一緒に遊んで つかれたらあったかい身体で包んで眠らせてくれる。
おとうさんが同じようにしたら 誰が大切なおまえたちを守るんだい?
子どもたちは なにかに気づいたようです。
おとうさんは続けて話します。
娘たちよ。おまえたちがおとなになって 自分がおかあさんになる時がくる。
そのときに おまえとその子どもたちを 大きな愛情で包める夫を選ぶんだよ。
息子たちよ。おまえたちもいずれ 自分の家族を持つ日がやってくる。
どの妻にもおなじようにやさしく どの子どもたちのことも同じように大切にできる
誇り高い自分を育てておくれ。
そういうと 子どもたち ひとりひとりの頭を やさしくなめてくれました。
そして なにもなかったように もとの場所に戻って 木の枝を食み始めました。
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