イエヌ―ファ。
イエヌ―ファという物語です。チェコのお話なので チェコ語で上演されています。
このお話は閉鎖的な田舎の 日常の中の出来事を描いているようでした。
タイトルになっている イエヌ―ファというのは 実の母親を失くして
育てのお母さんに厳しく育てられた 村の娘の名前です。
でも この娘の名前がタイトルになっているのは 彼女を通して周りの人たちが
自分の中に隠し持っている 本性をあらわにせざるを得なくなるキーマンだからなのかなと思いました。
育てのお母さんは こういう風にしていれば 人にバカにされない。
こういう生き方が 恥ずかしくない生き方だ。
そんな風に彼女に強く 刷り込みをしています。
そんな中でもイエヌ―ファ自身は 流れに身を委ねたがるというのか
あまり主体性が無くて 育てのお母さんが言っていたような 恥ずかしくない相手との結婚にこだわります。
村でモテモテのイケメンに言い寄られてるのですが こいつがチャラ男なんですね。
育ての母は こんなチャラ男は お前のお父さんと同じで信用できないから
しばらく ちゃんと真面目にやれるのか 結婚を待てというんですね。
その間に 昔からイエヌ―ファのことが好きだった チャラ男の弟とすったもんだがあり
彼女はこの弟に キレイな顔を ナイフで切られてしまいます。
まあ チャラ男兄ちゃんは 彼女の容姿に惹かれているだけだから
それをぶち壊せば 関係が切れると思っての 弟の短絡的な行動らしいのですが…。
でも その時既に イエヌ―ファは チャラ男の子供を身籠っているのでした。
その身重のイエヌ―ファを 育てのお母さんは 自分の家に隠してしまいます。
そして赤ちゃんが生まれるのですが 当のイエヌ―ファは 子供が生まれれば
チャラ男が会いに来て すべてが上手く行くと思っちゃってるわけです。
育てのお母さんは チャラ男が一度も会いにこないことで 何とかこの男に押し付けなくてはと考えます。
そうでなければ 娘は父親のいない子供を産んで 弄ばれた恥ずかしい親子として生きて行かなくてはならないんですね。
チャラ男は顔に傷があるし 自分を責めたりするし もうイヤだから金で解決したいと言っちゃいます。
そんな時 チャラ男の弟が訪ねてくるのですが 育ての母は今度は弟におしつけてしまえと考えるんですわ…。
その時に 子供が生まれたけど死んだとウソをついてしまいます。
弟はそれでも許すし 彼女を傷つけたことを償いたいと結婚を願います。
ここで焦るのは 育ての母なのですけど 赤ちゃんを自分の手で凍った川の下に沈めてしまうのでした。
この後 弟とイエヌ―ファは結婚することになるのですけど 結婚式の当日 氷の下から赤ちゃんがみつかってしまいます。
お母さんは自分が殺したことを告白し 罪を償うために連れて行かれます。
チャラ男は 罰が当たったと錯乱し始め 決まっていた村長の娘との縁談も破談になります。
村の人たちは ふしだらな娘と人殺しの家族として イエヌ―ファを非難します。
それでも 弟だけは彼女と一緒に生きて行く決意を伝えて 最後に二人は自分の意思で結婚を決めるのでした。
ざっくりいうと こんな話なのです。
ほぼ何にも考えず 長年 育てのお母さんが刷り込んできた
恥ずかしくないという規範の中だけで 生きようとしたイエヌ―ファなのですが
結果として 彼女にそう強いてきた育てのお母さんは 恥をかかないために赤ちゃんを殺してしまう。
きれいな子を嫁にしたい そんな体裁だけで 人の気持ちを考えなかったチャラ男。
それを見ていて 何か間違ってると思うのに 何も覆せずにナイフで彼女を傷つけた弟。
みんなが 狭いコミュニティーの中だけで持っている 歪んだ因習やモラルを手放した時に
やっと本当の自分を 認めることができたという結末なのかと思いました。
もちろん イエヌ―ファ自身も 赤ちゃんを失い いちばん好きだったチャラ男を失い
育ててくれた養母も失うなかで やっと自分の考えを持ち 大人になったんですけど。
そこからしか 本当の幸せとか自由とかは 始まらなかったねっていうオチでもあったのかもと思います。
人様のおうちの居間での出来事を 覗き見ているような気持ちにもなる
日本人にも馴染みやすい お話しだったのかな。
いろいろ考えた 初オペラ体験でした。(・ω・)

人気ブログランキングへ